浄化槽は住まいの水辺環境、衛生環境を良くしてくれるツールで、浄化槽を使用する事により快適な生活がもたらされます。
最近、浄化槽はコンパクト化され、狭い敷地にも埋設出来るようになったのと同時に、その性能は生活排水をきれいにする下水道に匹敵します。
しかし、浄化槽は正しく維持・管理されないと、きれいな水にはなりません。浄化槽を長く使用できないばかりか、汚れた水が出て悪臭を出し、環境汚染の原因にもなります。
毎日の暮らしの中から出る生活排水は浄化槽で処理し、河川・クリーク・有明海などの水質汚濁の原因にならないように注意しなければなりません。浄化槽の維持管理により、生活の中で汚れてしまった水を、きれいに浄化してから自然に帰す必要があります。水を浄化する際に必要不可欠となるのが「浄化槽の設置と運用・管理」です。
浄化槽法に基づき浄化槽を設置して使用する場合、順守すべき事項が明確に規定されています。
浄化槽の「保守点検」では、浄化槽のいろいろな装置が正しく働いているか点検し、装置や機械の調整・修理、スカムや汚泥の状況を確認し、通常実施される年1回の清掃以外に必要となる汚泥の引き抜きや清掃時期の判定、消毒剤の補充といったことを行います。
当然、定期的に行うべきものですから、家庭用の小型浄化槽では4か月に1回以上(処理方式や処理対象人員によって回数は異なります。)行うよう定められてい ます。
浄化槽法では、浄化槽の所有者を「浄化槽管理者」として定め、次のような義務を課しています。
(戸建て住宅の場合、一般には住民の方が「浄化槽管理者」になります。)
定期点検での簡易水質検査
浄化槽は一般的に2つの種類に分類されます。
【合併浄化槽】
生活排水(洗面所・台所・風呂などからの排水)と、し尿(水洗トイレなどからの排水)を併せて処理する浄化槽です。浄化槽法の規定では、「浄化槽」といえば「合併浄化槽」を指します。
【単独浄化槽】
し尿だけを単独で処理する浄化槽です。以前は家庭用の浄化槽として普及しましたが、法律の改正(浄化槽法の整備)により、平成13年4月1日以降の新設は禁止されました。また現行浄化槽法では正式な浄化槽として規定されず、合併浄化槽への入れ替えが求められています。
設置する施設の規模に応じてさまざまな容量の浄化槽が存在します。例えば一般家屋に設置する家庭用の浄化槽は、建築基準法の処理対象人員算定基準に基づく家屋の延床面積により容量が規定されます。
【処理対象人員算定基準】
トイレ、風呂、洗面所、台所から排出された汚水は、まず嫌気ろ床槽(固液分離槽)に入ります。嫌気ろ床槽では、汚水の固液を分離・分解して、次にもう一つの嫌気ろ床槽を通り、同じ処理を繰り返してから、接触ばっ気槽(担体流動槽、生物ろ過槽)に入ります。
この槽では、ブロアーより送られた空気と有機物を細菌(種)が貪食して有機物の分解・促進し、沈殿槽を通り、きれいな上澄みが出来、消毒槽を通過し放流されます。 浄化槽の中では、バクテリアが活性し、汚水を分解していきます。浄化槽の使用状況等の変化により、一時的のバクテリアが減少する事があります。そのような時には、バクテリアを投入ことで浄化槽の機能が回復します。(このような行為をシーディングと言います。)
「浄化槽法」とこれに基づく各省令等で詳細に規定されている事柄のうち皆さんに知っていてほしい義務は次のようなことです。